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2006年1月29日
部下が上司を支配する(おとぎ話)
猪口大臣、第二の真紀子化で思い出したのだけど、私は昔から、
政治・行政機構では『部下が上司をコントロールしている』という逆説があると考えている。
理由はこうだ。
中学校の社会(公民)の教科書では、「法律は、内閣または議員が国会に提出し、国会が議決して立法する。閣僚が集まり閣議を開き?を決定する。」などと書いてある。
これだけ読めば、国会議員の力で何でも出来るだろ、といいたくなる。
しかし現実はそうではない。
たとえば閣議にかけて何かを決定する場合。
大臣たちが自民党本部でひそひそ話をして、閣議決定の原稿を詰めることなど、ありえない。
閣議に掛けるためには、事務方による「これを閣議にかけます」という閣議請議という手続きが必要だということになっているからだ。そして、そこへ至る前提として、事務方による内容調整が行われている(法律案件なら内閣法制局審査や各省協議など…)。
これが慣例なのか、法令(内規?)上の決まりがあるのかはわからないが、いずれにせよこういう、閣議にかけるための事前の段取りはすべて官僚機構の中で行われる。
(*閣議にかける前に事務次官会議(全会一致制)に出すのは慣例だといわれるけど…。)
すると何が起きるか。
官僚機構が政治(大臣)の意向に反発すると、実質面はもちろん、手続面ですら、物事が進まなくなる恐れがあるのだ。だから、大臣が「こうしろ」と自分で原稿をまとめたって、事務方が「事前の手続・調整が済んでいないものを出されては困ります。お戯れを」といいかねない。
おお、部下が上司をコントロールしている…。
もちろん官僚機構も大臣に恥をかかせて政治と全面戦争するほどバカじゃないから、「まあまあまあ」ってやるわけね。普通はそうなるので、大臣になったとたん発言がおとなしくなる人が出てくるわけ。
しかしおとなしくならない人もたまにいる。それが、例の人物なわけ。
部下が思うように動いてくれない…そうなったら改めて命令を出すか、最後の手段はクビをちらつかせるか…ということになる。
彼女のやり方が妥当だったのかはよくわからない。だが、ある意味、官僚機構と真っ向から激突する究極的な事例であったことは間違いない。
官僚機構は、その道のプロ。役人たちの言うことすべてが利権保持のための画策であるわけもなく、多くの政策判断は、当然国を憂いて、国民のためを思って考えているはずだ。
ただ、今後ある程度の官のリストラが不可避な状況は避けられまい。官のリストラをやろうと思ったら、真紀子流の、そういう事態に直面することを恐れていてはダメなのだろうか、と「第二の真紀子化」問題を見ながら思い出してしまった。
投稿者 nao_yamamo : 21:57 | コメント (0) | トラックバック
2006年1月28日
猪口大臣、第二の真紀子化?
そんな記事が日経新聞に出ていた。
そう、小泉チルドレンの一人、猪口邦子少子化問題担当大臣である。
いわゆる担当大臣というのは、一言で言えば、ある政策課題に重点的に取り組むために、通常の閣僚とは別に特に置かれる大臣のことである。通常こういった政策課題は、各省をまたにかけるものであることが多いので、内閣府のある部門の上に立つ大臣となることが多い。
今回の場合も、確か内閣府には「共生社会担当」といったかな、高齢者、少子化、障害者、青少年などの国民生活を幅広く見る部門があるので、その上に大臣を立てたのだと思う。
それで、記事の内容はというと、つい先日新聞でも騒がれた「出産無料化」発言などで、厚労省からそっぽを向かれ始めているというのだ。国会議員としては先輩で、官僚との距離のとり方がうまい山谷えり子政務官とも距離感があるという。さらに、予算成立前の予算措置発言はご法度で、総理から注意を受けたなどの噂も絶えないという。
そしてこれを日経新聞は、第二の真紀子、と書く。
でも私は逆の大胆予想。猪口邦子大臣は、第二の大橋巨泉になる、と。
え、皆さんお忘れですか。鳴り物入りで参議院議員になり小泉総理と戦い、無力感に打ちひしがれて参院議員を途中辞職した、あの方ですよ。
私は思う。猪口大臣は、学究としては超一流。行政改革会議にも入り、国連軍縮大使もやって、内外の政治の現場も見ている。でも孤軍奮闘ではつぶれるよ、普通。
マスコミも応援する気はないみたいだし…。
投稿者 nao_yamamo : 23:40 | コメント (0) | トラックバック
2006年1月19日
取材を受けると云ふ事
私がかつて役人だったころ、某省の幹部が、若手職員に対してこんな訓示をたれていた。
「公務員をやっていると、業界や地方自治体関係者など、いろいろな人が頭を下げてくることがあるが、勘違いしてはいけない。『お辞儀は自分(個人)に対してしてくれているのではない。ポストに対してしているのだ』」
なるほどなあ、と当時思っていた。
それと似たようなことが、役所における報道機関の取材においてもいえると思う。
つまり、ごく一部の例外を除けば、公務員への取材は、ポストへの取材である。個人として取材がかかることはまずないといっていい。
私も役人の端くれだったので、役所時代、プレスの取材を受けた経験はある。とはいっても若手だったので、記者と一対一で直接取材の経験はない(そういうのは、通常管理職か、少なくとも補佐以上が対応するもの)。係長レベルで対応するのは、多くは電話取材である。
とはいえ電話の場合、間違ったことを言うと訂正がしづらく、またかかってくるときは突然なので、実は面談取材よりも難しいところもある。
こういった、役所ゆえの「個人に対する取材」ではない「ポストに対する取材」は、ネガティブな取材のときは「如何に言質を取られず逃げ切るか」、ポジティブな取材の時には「如何に正確に良く書いてもらうか」ばかりを考えてしまう。仕方ないことだが、そこに自由な発言などありはしない。(まあごくたまに好き勝手なことを行って役所を混乱させる人もいるけど)
しかし私は役人廃業により、その制約から解放された。実はこの9ヶ月で、新聞記者5回、フリーライター1回の取材を受けた(その割に記事になってないという突っ込みはナシね)が、今の取材は、当然ながら個人に対する取材である。
上記のような理由で、役所時代、ポストに対する取材には常に緊張感が走っていたが、役人廃業の主催者として、個人として取材を受けるようになってからは、取材ってなんて楽しいこと、と思うようになった。
記者の側としては、取材の労をとってもらったのに記事にならず申し訳ない、という気持ちを持たれることもあるようだが、私としては、取材に応じることで自分の考えも整理出来るきっかけだと考えるので、報道されなくても自分としては取材自体からメリットを得ている(楽しい)、と考えている。
ポストに対する取材を受けていた公務員時代からは、まったく考えられなかった感覚である。
投稿者 nao_yamamo : 01:27 | コメント (0) | トラックバック
2006年1月15日
役人廃業者コミュニティという夢
裏情報で恐縮だが、リクルートのOB会で「MR会」というのがあるそうだ。元リクルートでMRという命名はまあさておきとして、優秀な人材を育て数多くのベンチャー企業を産み出したリクルート人脈、そりゃあすごいOB会(懐かしむというよりは、最先端の事業情報交換・人脈形成の場)なのだろう。
これに対して、役人廃業者のOB会というのは存在するのだろうか、とふと思う。
(なお、勧奨/定年退職者のOB会なら当然いくらでもある)
経済産業省のように、外に出て行くのがある種当たり前になっている役所なら、あってもおかしくなさそうであるが、通常の官公庁ではなかなかなさそうな話である。
役人廃業のHPの設置趣旨にも書いてあるとおり、このサイトの目的の1つに、役人廃業者が集まってコミュニティをつくって何かできないか、という遠大な目論見がある。役人廃業者への偏見の打破、外に出た者だからいえる行政(公務員制度)改革、優秀な公務員の民間への受け入れ拡大支援など、いろいろある。
まあそこまでは夢物語だと思っているけど、体験談に登場していただいた方たちの間では、少しずつ役人廃業コミュニティができているという、私としては望外の喜びの話もある。
本当を言えば、私がもっとオープンに外へ出て引っ張らなければいけないのはわかっているのだけれど、起業された役人廃業者の方と違って、私はサラリーマン。就業規則には反しないとしても、いろいろあって、本当に役人廃業者として名乗りを上げるには、もうしばらく時間をいただかなければならないのである。
投稿者 nao_yamamo : 13:06 | コメント (1) | トラックバック
2006年1月13日
一休さんの頓智こそが叡智
大雪で、自治体が雪下ろしのための予算を使い切ってしまったという報道が相次いでいる。そんななか、私ははるか昔のアニメ「一休さん」の一話を思い出していた。
舞台は京都。例年にない大雪が積もり、将軍足利義満が、金を掛けず雪かきする方法はないかと一休さんに尋ねる。
ポク、ポク、ポク、チーン(懐かしいな、このネタ通じるのってやっぱり25以上?)
一休さんは、北海道雪祭りの1000年以上前に、京都雪像祭を考案。うまく出来た何人かに賞金を出すことにした。ミソは、「なるべく大きな像を作った方が上位入賞する」と街に噂を流すことだった。
これにより、待っていても町民たちが勝手に雪かきしてくれる、という。
この故事(つーかアニメだろ)から我々は何を学ぶべきか。今年は寒くて南国でも雪が降ってしまったかもしれないが、四国や九州など、あまり雪が降らない地方の自治体が金を出し、小学校や幼稚園の雪遊び用に溜まった雪を買って(=財政支援)、持って来てはどうか(=じゃま雪の排出)。
雪質がどうとかいう問題ではない。災害援助も、ただ堅苦しくやるよりも、頓智(叡智?)をもってやったほうが民心が集まると思うからだ。
投稿者 nao_yamamo : 23:17 | コメント (0) | トラックバック
2006年1月12日
【2006年1月の1冊】たまには敵対的な本も紹介しておかなきゃ
中央公論の寄稿で何冊か本を紹介してしまったので、ネタ切れの危険?
いやいや、ちょっと古いけど、たまには公務員を硬派に批判した本も取り上げておこう。
北沢栄「官僚社会主義 日本を食い物にする自己増殖システム」(朝日選書)
いや?、タイトルからしてかなり食傷気味ではないかな。
実は私は、「日本の論点2006」向けに執筆する際に、賛否両論拾ってから文章をまとめようとしていたので、公務員攻撃論の参考文献として読んだのがこれ。
まあとにかく、官僚は権力を持つ強者、悪、という視点でかかれており、徹底して官僚批判。
確かにそれぐらい言っておかないと強大な官僚機構と戦えない、ということもあろう。しかし、攻撃に終始してしまって、公務員側の言い分に耳を傾けていない向きがあり、現実的な解決策が十分明らかになっていないような気がする。(日本の論点では、そういうところを補ってみたつもり)
もちろん、行革の名を借りて独立行政法人などが焼け太りをしたなどの指摘は傾聴に値する。
でも、こういう指摘が国民の大多数に届かないところに、日本の報道の限界があるような気がするんだよな…。
投稿者 nao_yamamo : 23:59 | コメント (0) | トラックバック
2006年1月11日
公務員はどこへ行くのか
カテゴリーの分類には困ったんだけど、このたび、「中央公論」2月号の「集中講義」という簡単な書評(というか本の紹介)コーナーで執筆させていただいたことをここに報告します。2日前のエントリー、今思えばわざとらしいですが…。でもアクセスは増えないな…。
記事は、中央公論社の承諾が得られればアップする予定。これまで「今月の1冊」で紹介してきた本が機軸だけど、初紹介の本もある。
紹介している本をいちおうリンクしておきます。
あ、いかんいかん、まだ1月の1冊を紹介していない…。明日にでもブログをアップせねばと思う私であった。
ちなみに、中央公論社のサイトにも出ているが、この号の編集後記でこんなことが書いてあった。
★受験生が減少していく中、日本の大学業界は社会人向け大学院を新たなフロンティアに。しかし当てははずれそう。乱立だけが理由ではありません。件の教授によると、OLでも小金をためて留学する時代、社会人大学院ともなれば完全に海外の大学院と同次元で比較されます。国内の超有名大学を卒業し、中央官庁やトップ企業に籍を置く人材も、留学となればIVYかox-bridge。母校の大学院など歯牙にもかけません。
慶応などは国内MBAコースを作っているが、やっぱりMBAっていったら海外でしょ。といわれてしまうところに、明治時代のような寂しさを感じるのは私だけでしょうか?
投稿者 nao_yamamo : 12:31 | コメント (0) | トラックバック
2006年1月 9日
久々に200アクセスを超えた
最近アクセス数が低調気味だったので、ちょっと嬉しい。
前回「中央公論」に載ったときはなんとなくアクセスが増えたように見えておかしいな、とおもったら中央公論の編集者から「載せましたよ」と突然連絡が入ってびっくりした。
まあ、200ぐらいじゃ何のことはないと思う。
一応、東京新聞に載ったときは、日計500を超えたことがあるが、あれは夕刊だったし、本当に見て欲しい人たちに届いていないと思う。官庁内でスクラップされるような記事に、早くなりたい。
それでこそ本当のメジャーデビューだ…。
投稿者 nao_yamamo : 23:43 | コメント (0) | トラックバック
2006年1月 1日
新年の抱負―夢
当ブログをご覧の皆様、新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
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さて、「教えて!goo」というサイトがあるが、そこでたまに、公務員から民間に転職したいという人の相談が載っている。私が見つけたときには回答期限が過ぎているので回答したことはないが、そこで1つ気になる記述を見た。
詳細は解説しないが、とある公務員が、民間企業の知人から転職しないかとスカウトされ、迷っているという話であった。そこで、とある回答は、こういうことを言う。
常識的に、中長期的な意味での待遇面で見れば、やめないほうが絶対得。夢でもあれば別ですが…。
すでに役人廃業している者に言わせてもらえば、ポイントは、その後半部分である。(下線は管理人)
管理人だって、短期的な年収もそうだし、生涯賃金も今後よほどのブレイクがなければ相当下がると思っている。でも…夢があるから辞めたのだ。じゃなきゃ、辞めませんぜ。
一般論として、夢なり抱負なりを胸に秘められる人は、役人廃業への挑戦資格の第一段階をクリアしているのではないかと考えた元日でした。