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多くの起業家を見てきた公的起業支援機関がアドバイスする、公務員からの独立や起業されたい方へ

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取材エリア

関西

お名前

大阪産業創造館 創業支援チームリーダー 長川 勝勇 様

経歴

昭和62年に住友銀行(現 三井住友銀行)入行、融資・渉外・新人教育・社内新規プロジェクトなど15年間の銀行員生活を経て、取引先企業の取締役副社長に就任。
その後、大阪市の外郭団体である現在の職場にて創業支援、クリエイターネットワーク構築支援、中小企業経営相談などに従事。現在は、公益財団法人大阪市都市型産業振興センター大阪産業創造館の創業支援チームリーダーとして活躍中。

関連サイト

http://www.sansokan.jp/

全国に約600箇所あると言われています独立・起業のための公的支援機関の中でも、活動域の広さからトップクラスの活動量として知られるのが大阪市が運営している大阪産業創造館です。今回、「公務員からの起業」というテーマで、創業支援チームリーダーの長川様にお話をお伺いしました。民間出身者として数多くの起業家を目の当たりにされてきた興味深いお話を数多くいただきました。

【大阪市産業創造館とは?】
大阪市経済戦略局の中小・ベンチャー企業支援拠点として2001年1月に開業。
経営相談をはじめ、セミナーやビジネススクール、商談会、交流会など、多種多様なサービスで起業家や中小企業をサポートする大阪市の公的企業支援施設。



本日は公務員プラスの「公務員からの起業へ」の取材に協力いただきありがとうございます。では、早速なのですが、ここ最近、公務員から起業されたい方が少なからずおられます。まず、どのような方が公務員からの起業に向いていると思われますか?

 公務員からの起業に限らず、起業されたい場合は、まずは「起業家としての気質があるかどうか」ということが重要です。

「コミュニケーション能力はあるか」や「明るく元気な人物像で、周囲の人が応援したくなるか」など、起業後の様々なに襲ってくる難局を乗り越えられる気質があるかどうかが重要なポイントです。

一方で公務員の場合、起業家とは言ってみれば逆の気質が求められていると思います。
公平でいられるか、卒なくプロジェクトをクリアできるかなど一般の民間企業のサラリーマンとはまた異なる大きなものを背負って働いているのが公務員という存在です。

そのため、公務員的な気質から徐々に転換させ、起業家としての気質を身につけられるかどうかが大切なことですし、これができる方が起業に向いていると言えるのではないでしょうか。

あと、成功している起業家に共通していることが1つあるのですが、特に何の根拠もなくても「何とかなる」「自分には解決できる」というような思考パターンがあります。
この根拠のない自信というものは大事なポイントです。日頃から何かよく分からないが自信がある方は起業家に向いていると言えるかもしれません(笑)。
 

 


―安定的な公務員という仕事から起業するに際しては、やはり様々な不安がつきまとうものですが、どのように克服していけばいいのかなどアドバイスをいただけないでしょうか。

 恐らく起業するに際して不安なのはこれからの生活や仕事に対してのことだと思うのですが、それを克服するには、とにかく起業の準備をまずは進めることです。

「覚悟」してから「準備」を始めるのではなく、「準備」している中で「覚悟」をすることです。
言い換えれば、まずはいついつまでに起業するぞ、というゴールを設定し、ゴールに向かって行動します。そしてその計画どおりにいかなかったら、本気で悔しがれるかどうかです。

その時に本気で悔しがれないようでしたら覚悟ができていない、と言い換えることもできますし、もっと深い意識の部分で言えば恐怖を感じていると覚悟はできません。

恐怖というものは人の前向きな考え方や行動を止めます。途中であきらめたり、別の道に行くのも根底にあるのは失敗するかもしれない、という恐怖です。
一方、「恐怖」と真逆に見えて実は紙一重な存在に「ワクワク」というものがあります。
恐怖の場合は、前に出ることは怖いためにできませんが、ワクワクの場合は前に出ることができますよね。
この紙一重の差なのですが、恐怖を一瞬にしてワクワクに変えることができることが起業家の資質としては大切ではないでしょうか。



―起業のためにモチベーションやイメージを具体化させる方法などあれば教えていただけないでしょうか。

 まず、起業というものを格好良く想像するのはあまりよくありません。形から入り格好良くスタートし、格好よく成長していく企業など滅多にありませんので、泥水を飲む覚悟でまずはできることから何でも始めることが大切です。

ただ、急に何でも泥水を飲む覚悟でやっていこう、となってもなかなかできないと思いますので、まずは本物の経営者やその分野で頑張っている人たちと会って、ネットワークを作っていくことです。

起業本を読んだり、成功者のセミナーに出席しても、気分が盛り上がることはあっても、得られるものは少ないと思います。
まずは、実際に経営をしている人に会うこと。人と会えば自分に今足りないものも見えてきますし、自覚をすることもできます。
人と会うことは自分を写す鏡に会うことでもないでしょうか。

あとは、日頃から面倒なことでも楽しく行う方法を見つけることができないか探してみることです。
起業とは面倒なこと、一見するとムダなことをいかに楽しく行い、成果という形にしていくものですので、面倒だったりムダだと思えることを楽しく行える方法を見つけることは大変良い方法だと思います。



―話は変わりますが、公務員から起業される場合、社会起業家を目指される方が多いように感じるのですが、これについてはいかがでしょうか。

 社会起業家という存在は重要な存在であることは間違いありませんが、あまりに「社会のために」「利益は二の次で」と盲目的になるのはよくないかもしれません。

私は社会起業家の方によく「お金は好きですか?」「お金を稼ぎたいと思いますか?」と聞くのですが、おおかたの方は「ハイ!」とは言われません。

お気持ちは分からないこともないのですが、お金があればより多くの人を助けられると考えていただき、堂々とお金を儲けていただくことを大前提にしていただきたいと思います。
堂々と儲け、そのお金でさらに社会をよくしていくんだ、という考え方が重要なのではないでしょうか。

 


―起業の際に私も大変お世話になったのですが、全国に存在します行政による起業支援機関やサービスの上手な使い方があれな教えていただけないでしょうか。

 全国には行政による約600の支援サービスやインキュベーション(経営技術・金銭・人材などを提供し、育成すること施設のこと)があると言われています。
支援機関で働く人は、基本的には起業や中小企業を支援したい人が多く集まっていますので、本当に支援が必要な人や支援をしたいと思えるような人に対してはしっかりとサポートしてくれるはずです。

特に公務員からの起業前後はあまり周囲に同じ状況の方もおらず、起業相談する相手もいないことが多いと思います。

「事業計画についてこう考えています」「こんなことで悩んでいます」となれば、まずは相談してみることが大事ですし、セカンドオピニオン的な感覚で使ってもらえればと思います。

 

 

―では、最後に大阪市産業創造館の上手な活用方法を教えていただけないでしょうか。

 起業前の起業しようか悩んでいる方には、交流会付きのセミナーを多数用意していますので参加して欲しいと思います。
同じく起業するぞ、という同士が参加していますので、得られるものは大変大きいと思います。

また、起業を決意された後の方には、士業を始めとした専門家による無料相談を随時実施しています。
恐らく「公務員から起業します」と言うと、まず初めに起業を止められるかもしれませんが(笑)、その時に笑顔で「助言ありがとうございます。でも、頑張ります!」と言えるかどうかです。
これが言えたら、もう起業の準備としてはほぼ完成しているのではないでしょうか。



―様々なアドバイスをいただきましてありがとうございました。



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