公務員か転職や独立起業する際には様々な悩みがつきものです。そんな悩みを元福岡県職員で、現役弁護士の宮内さんのご協力を得て、アドバイスさせていただく公務員プラス法律相談です。
今回の悩みは「病気休職者への退職勧奨の是非について」に関するものです。
【ご相談内容】
お名前:ポークケチョプ 様
現在のお仕事:地方公務員行政職
年齢:20代後半の男性
相談内容:
はじめまして。現在うつ病の病気休職を開始して1年2ヶ月です。
2年までは病気休職で休職できる規定なのですが、職場の上司や総務部からはやんわりと復職の可能性がないなら退職した方がいいんじゃないか、と退職勧奨を受けています。
私個人としては、復職は難しいとは思いますが、ぎりぎりまで在職したいと思っています。条例で休職期間が定まっているにも関わらず、病気休職者に対してこのような退職勧奨は許されるものなのでしょうか。
また、私の自治体は労働組合も弱く相談できる人や団体もありません。
民間企業でしたらユニオンという労働団体に相談に行けばいいようなのですが、公務員の場合はどうすればいいものでしょうか。
【回答・アドバイス】
うつ病で病気休職ですか、私も実はうつで2か月間休職したことがあります。
つらいですよね。しっかり休まれてください。
建前からいうと、休職は復職を前提とする制度なので、復職の可能性が全くない場合には、休職を続けるというのは難しいかもしれません。
ただ、これはあくまで建前の話で、復職の可能性があるかないかは誰にも分からないのですから、ぎりぎりまで復職の可能性を模索するという建前で期間いっぱい休むのも可能だと思います。この場合、期間途中で無理にやめさせようとすれば、分限免職ということになると思いますが、向こうもそう簡単にはできないでしょう。
なお、病気が公務に起因する場合に、無理に退職勧奨をすることは、労基法19条の趣旨に照らして問題があり、場合により、不法行為が成立することがあります。また、事案は違いますが、公務員のしつこい退職勧奨で不法行為が成立した裁判例(最高裁判所昭和57年7月10日)もあります。
労組に相談しにくい場合には、弁護士の私がいうのも何ですが、お近くの弁護士に相談されることをお勧めします。
ただ、心身の状態が許すなら、くれぐれも次どうするかということは考えておいてください。私は、前述の休職期間中に転職を決意しました。