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公務員は「共済年金」に加入している

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執筆者 田宮雅也様(元公務員)

経歴

某自治体を退職後、民間企業に転職。今後さらなる飛躍を目指すため、昨年に社会保険労務士の資格を取得。現在は、資格を活かした仕事をどのように展開していくか模索中。

皆さんは、公的年金の仕組みがどのようになっているかご存知でしょうか?
今回、このあたりの内容を元公務員かつ社会保険労務士の資格を保有されている田宮雅也さんに解説いただきました。

 

【公務員は共済年金】

 年金制度について日常会話やニュースでよく耳にするのは、「国民年金」と「厚生年金」の2つだと思います。このうち、「国民年金」は原則として20歳~60歳の全ての国民が加入する基礎的な年金、「厚生年金」は主に会社員を対象として「国民年金」に上乗せされる、いわゆる“2階部分”の年金です。

 しかし、公務員の皆さんは「国民年金の保険料なんか払ってないし、厚生年金に入っているなんて聞いたことがない」と思われるかもしれません。それもそのはず、国家公務員・地方公務員は「共済年金」という別個の制度の年金に加入しているのです。


 国家公務員の方は「国家公務員共済組合法」によって定められた「国家公務員共済組合」(省庁ごとに計20の組合があります)に加入しています。

また、地方公務員の方は「地方公務員等共済組合法」によって定められた「地方公務員等共済組合」に加入しています。

こちらは道府県の職員が加入する「地方職員共済組合」、主な政令指定都市の職員が加入する「○○市職員共済組合」、それ以外の市町村の職員が加入する「市町村職員共済組合」(都道府県の区域ごとに設立)等に分かれています。

そして公務員、すなわち「共済組合の組合員」(65歳未満)は「国民年金の第2号被保険者」として扱われ、共済組合から一括して国民年金の保険料を支払いますので、個別に保険料を支払っていなくても、国民年金に加入していることになります。




【共済年金の保険料】

 「共済年金」の保険料は原則として、本人(組合員)と事業主(使用者)が折半して負担しており、本人分の掛金は毎月の給料や期末手当から天引きされています。

一方で給付としては、「退職共済年金」、「障害共済年金」、及び「遺族共済年金」の制度があります。さらに、一定の要件によりますが、これに加えて「国民年金」からも「老齢基礎年金」、「障害基礎年金」及び「遺族基礎年金」が支給されます。




【厚生年金の違いとは?】

 では、この「共済年金」と主に会社員が加入する「厚生年金」の違いは何でしょうか?

まず、保険料率の違いです。保険料は給料や期末手当をベースとした金額に保険料率を乗じて算出するわけですが、この保険料率は、平成24年9月現在で16.216%であり、「厚生年金」の16.766%と比べて低くなっています。


 次に、給付時の「職域加算額」の存在です。会社員が加入する「厚生年金」は一般的に、“2階建て”と言われます。前述のとおり、全国民を対象とする「国民年金」からの給付を“1階部分”、そして、それに上乗せされる「厚生年金」からの給付を“2階部分”とみなしたものです。しかし、「共済年金」には、さらにそれらに追加して“3階部分”と呼ばれる「職域加算額」が存在します。

前項の保険料率の低さだけではなく、給付面でも「厚生年金」より有利であると言えます。


 しかし、実はこの「共済年金」、平成27年10月に「厚生年金」に統合されることになっています(「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」(平成24年8月22日公布))。

「共済年金」の保険料率は段階的に引き上げられ、最終的には「厚生年金」の保険料率(18.3%)に統一されます。また、「共済年金」の「職域加算額」は廃止されてしまいます。


 その他の制度的差異も「厚生年金」に揃えて解消されることになっています。
ただし、「職域加算額」の廃止については、廃止後の新たな年金については、「別に法律で定める」とされており、民間の企業年金に相当する「年金払い退職給付」が創設されることになっていますので、今後の行方を見守っていく必要があります。



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